不動産取得後、忘れた頃にやってくる不動産取得税
こんにちは、株式会社武蔵小山不動産の吉沢です。
今回は、不動産取得後、6ヶ月〜1年半くらいの間に各都道府県から納税通知書が送られてくる、「不動産取得税」についてお話しいたします。
不動産取得後、6ヶ月〜1年半くらいの間に届く為、忘れている人が多く、金額をみて驚くケースもあります。また、不動産会社によっては、不動産所得税のことを全く説明せずにトラブルになるケースもあります。私も何度か、お客様が忘れていて、「この税金なんですか?」と連絡が来たことがありました。
目次
不動産取得税とは
不動産取得税とは、土地や建物を取得(売買・贈与)した時にかかる税金のことです。新居に入居してしばらくすると、各都道府県から「納税通知書」が送られてきます。
不動産所得税の税額は、「課税標準額×税率」で計算されます。課税標準額とは、実際に売買した時の価格ではなく、固定資産税評価額と呼ばれる価格が使われます。この固定資産評価額は売買した時の価格よりも低いのが通常で、土地の場合は7割程度、建物の場合は5〜6割程度とされています。
税率は原則4%ですが、土地と住宅については2024(令和6)年3月31日の取得までは3%に引き下げされています。また、宅地や宅地と同じ扱いを受ける土地に限っては同じく2024(令和6)年3月31日まで、固定資産評価額の2分の1が課税標準額となっています。
不動産取得税の税率
【原則】
宅地:4%
住宅:4%
【軽減措置】
宅地:固定資産税評価額×1/2×3%
住宅:固定資産税評価額×3%
軽減措置は2024(令和6)年3月31日の取得までです。
要件を満たせば軽減を受けられる
住宅を購入する場合、住宅が一定の要件を満たせば軽減措置が受けられます。まず建物については固定資産税評価額から一定額が控除されます。控除額は住宅が新築された日に応じて下記のように決められています。
建物の固定資産税評価額からの控除額
新築日 | 控除額 |
1997年4月1日以降 | 1,200万円 |
1989年4月1日〜1997年3月31日 | 1,000万円 |
1985年7月1日〜1989年3月31日 | 450万円 |
1981年7月1日〜1985年6月30日 | 420万円 |
1976年1月1日〜1981年6月30日 | 350万円 |
1973年1月1日〜1975年12月31日 | 230万円 |
1964年1月1日〜1972年12月31日 | 150万円 |
1954年7月1日〜1963年12月31日 | 100万円 |
軽減措置を受けられる建物の要件
①取得者の居住用またはセカンドハウス用の住宅
②床面積が50㎡以上240㎡以下
③次のいずれかに該当すること
・1982(昭和57)年1月1日以降に新築されたもの
・新耐震基準適合証明書
・建設住宅性能評価書の写し
・既存住宅売買瑕疵担保責任保険付保証書
上記の床面積はマンションの場合、専有面積に共有部分を持ち分に応じて按分した面積が加算されます。
長期優良住宅に認定された新築住宅の場合、控除額が1,300万円になります。
2022(令和4)年3月31日までに新築住宅を取得する場合。
一方、住宅用の土地については、上記の要件を満たす住宅が建っている場合に、以下のいずれか多い額が不動産取得税の税額から控除されます。
①45,000円
②土地1㎡当たりの価格×1/2×住宅の床面積の2倍(200㎡が限度)×税率(3%)
具体的な計算例
■不動産取得税の軽減が可能な場合
既存の木造住宅(昭和60年8月建築の住宅)とその土地を購入し、自己の居住の用に供する場合。
①家屋の固定資産税評価額:500万円(床面積80㎡)
②土地の固定資産税評価額:3,000万円(面積150㎡)
①家屋
(500万円−450万円)×3%=1.5万円
②土地
・通常の税額:3,000万円×1/2×3%=45万円
・住宅軽減
(A)4.5万円
(B)3,000万円/150㎡×1/2×(80㎡×2)×3%=48万円
(C)(A)、(B)いずれか多い方の額 48万円
土地の税額:通常の税額45万円から48万円を引きますので税額は0円です。
③納付税額:1.5万円(家屋分のみ)
■不動産所得税の軽減が不可の場合
①家屋:500万円×3%=15万円
②土地:3,000万円×1/2×3%=45万円
③納付税額:60万円
マンションの登記簿上の床面積が50㎡未満の場合
不動産取得税の軽減の特例は50㎡以上240㎡以下の床面積に対して適用されます。この場合の床面積ですが、マンションの床面積は共用部分を按分して専有部分に加算した面積が基準になります。そのため登記簿の床面積が50㎡未満でも50㎡以上の基準を満たす可能性があります。固定資産税評価証明書の「現況床面積」の欄で50㎡以上であれば不動産取得税の軽減の特例を受けることができます。
セカンドハウスとは
セカンドハウスとは、別荘以外の家屋で、週末に居住するために郊外等に取得するもの、遠距離通勤者が平日に居住するために職場近くに取得するものなどをいい、毎月1日以上居住の用に供するものとされています。
軽減を受けるための手続き
不動産取得税の軽減措置を受けるためには、「申告が必要」です。新居に入居して数カ月すると納税通知書が送られてきますが、申告していないと軽減前の税額が記載されているので、多額の税金を払うことになりかねないです。
申告先は、各都道府県の税事務所です。申告期限が条例で定められており、原則として期限内に手続きしなければ軽減が受けられないです。
手続きを忘れて軽減前の税額の納付通知が送られてきたらどうすればいいかというと、すぐに税事務所に問合せをしてください。申告期限を過ぎていても、納税通知書を受け取ってから手続きすれば軽減が受けられるのが一般的です。
ただし期限後の手続きで軽減が受けられるとは100%は言い切れないのも事実です。家を買ったら自治体のホームページなどで期限を確認して忘れずに手続きをしましょう。